前回のコラムで紹介した、全身に力を入れて1周しただけの演劇についての番外編です。
その数か月後、友人の田植えを手伝う機会がありました。
太ももまでの長靴を履いて、田んぼの中に足を踏み入れ、苗を数本ずつ植えていきます。
足はずぶずぶと泥の中に入っていっていきます。
移動しようとしても、なかなか足が泥から抜けません。
足に力を入れて、バランスを失うことがないよう、長靴が脱げてしまわないよう、ゆっくりゆっくりと足を上げ、下ろし、またゆっくり、ゆっくり足を泥から抜き上げていきます。
一向に前に進みません。
「何だか、人生に似ているなあ」
と思った瞬間、
「あ!あのときの作品とそっくりだ!」
もちろん、アーティストが田植えを表現しようとしていたのではないだろうと思います。
人生を表現しようとしていたのかどうかも分かりません。
でも、ぼくは、急にあの作品に親近感を覚えました。
分からないものを分からないからといって排除するのではなく、分からないものは分からないままに置いておいて、その後の変化を楽しむほうがよほどいいと思います。